« 新御徒町 アヅマ(あずま) | トップページ | 調布 ふくろう »

2010年2月 2日 (火)

穴が開くほど見てしまう ハングオフ考

Web検索で偶然発見。

ニッキー・ヘイデンのライディングフォーム。ヘイデンはお気に入りのライダーなのだ。昨シーズンは不調だったけどね。ダートラ上がりってのがいいんだなあ。男前だしね!くやしいぞ。

このところ寒いので峠道にはご無沙汰だし、金欠なのでサーキットにも行ってないので、こういう写真を見るだけで、ずーっといつまでも、それこそ穴が開くほど見てしまうんです。

あ、以下の話はサーキットというか限界的な走行のことですので誤解なきよう。公道では安全第一です。

Nicky_01a

下手な解説不要!これを見るだけですべてわかる。みたいな写真&アノテーションです。

静的な力の均衡を転倒せず如何に崩すか。言い換えれば、直立した均衡状態から傾斜した均衡状態へ破綻無く移動すること、がコーナリングのテーマなわけですね。

ちなみに、GPライダーがこれだけ体をハングさせてもバイク+ライダーの合成重心はバイクの中心線より6センチくらい内側に移動するだけで、車体外に出ることはないそうです。6センチってことは丁度タイヤの端くらいですね。あ、これは葛飾のホヤ怪人こと南行さんとmixi仲間APOさんからの受け売りです。自分で計算してません。m(_ _)m

ところで上の写真。一番太い矢印が一番エライ!わけです。オレンジの線=遠心力ですね。つまり遠心力がコーナリングを支配する最も大きな要素なんだよね。これがあるから車体の内側に体重を移動できるわけだ。

逆のみかたをすれば、バンク角度に均衡するだけの遠心力が生じる速度を維持できなければスパッと深く倒せない。低速で恐る恐るチョビッと倒しても安定したコーナリング姿勢にならない。

コーナーへの進入速度維持、および前提としてのブレーキングはフォーム云々の以前にスポーツライディングの最重要ポイントです。いくら膝を出しても速度が乗ってなければ意味ないっす。

------------------------

だけどこいつほど誤解されやすく、かつ実践が難しい技術は無いと思う。

しばしば「ハングオフ=高速=危険」、「リーンウィズ=低速=安全」っていう誤解だらけの議論に発展することがある。そうじゃないんだな。

「速度を落としてリーンウィズで安全に曲がる」のがツーリングの基本なんだけど、ツーリングのフォームで速度だけを上げると転倒につながっちゃう。対向車線にはみ出しそうになってヒヤッとするのは皆さんも経験されてると思います。

なので、「リーンウィズでさえ転倒するんだから、ハングオフならもっと危険性が高いに違いない」っていう論法になるんだよね、不思議なことに。

こんな写真を見るとそう思うのも無理ないです。はたしてコレは転倒してるのか?走行してるのか? 写真だけではよくわからんところまできてますね。

Rossis

ところが実際には、高速度域での車体コントロールはリーンウィズではきわめて難しい。なぜならばリーンウィズでは体重移動の自由度が少ないから、速度に拮抗するためにはバイク自体を相当寝かせる必要があって、タイヤの限界に近づきやすい。なので最悪の場合転倒。っていう事実が忘れられてるんだな。

追記:ハングオフ発明以前のGPライダーはロングタンクの後ろ端に座り、コーナリング時には上体をタンク横にロールするように伏せている。できるだけライダーの重心を低くしたいからですよね。発想はハングオフと同じです。

最近の高性能バイクはよくできててどんなフォームでもそこそこ曲がれちゃうのも誤解が広がる一因ではないかなと思う。峠でSSでリーンアウト(驚!)の人って実際にいるんですよ。遭遇してびっくりした。夏場だからいいものの。怖いのでなるべく近づかないようにしましたよ。

勝手なことを書き連ねてます。異論反論ありましたらコメントくださいね。お待ちしてますよ~。



少しでも暇つぶしになったらポチッと押してくだされ

人気ブログランキングへB級グルメ にほんブログ村 バイクブログ カワサキへブログ村

|

« 新御徒町 アヅマ(あずま) | トップページ | 調布 ふくろう »

バイク」カテゴリの記事

コメント

峠でSSでリーンアウトよくやります。リーンウイズもリーンインもしますが、峠でハングオフはしないです。理由は必要をまったく感じないからです。膝擦ってるライダーより私のほうが速い事がほとんどです。
反論はあればとあったので書きました。

投稿: よこ | 2021年2月 1日 (月) 20時05分

●RC17さん

さすが達人のコメント。2つのご指摘そのとおりだと思います。私の文章が足りませんでした。

立てるほど推進力が増すのはRC17さんのおっしゃるとおりだと思います。

なので、ハングオフのフォームは、ライダーの重心をバイクの内側にずらすことで、バイクをなるべく立てながら重心を内側に移して旋回力を高めるのがそもそもの目的なんだと思います。

ダートやアイストラックの選手が最初に始めたといわれているとおり低ミュー路面で転倒しないための技術なんでしょう。

だから、ハングオフは安全を考慮した乗りかたでもあって、決して危険なだけのものではないよ、と言いたかったんです。(^-^;

それでも最新のGPライダーはその限界をはるかに超えちゃってますから、「どこが立ってるの?」となるのはまあ、しかたないところです。

------

首都高はその名のとおり全線が高速コーナーなので、きついRのヘアピンコーナーはありませんから、あんまり急激な体重の移動は効率悪いし危険なんだろうと思います。

なので、どちらかといえばリーンウィズ風の乗り方で、短時間にスパっと浅く寝かせ、できるだけ早めに車体を立ててズバッと脱出できる人のほうが速いんではないかと思ってます。

追記: さらに重要なのはラインどりですね。

まさにクリスチャン・サロンのような高速耐久レース向きのフォームが最適なんではないでしょうか。

きっとRC17さんはこういう乗り方の達人では?と勝手に想像しております。間違ってたらごめんなさい。ヽ(´▽`)/

投稿: ケビン | 2010年2月 5日 (金) 15時56分

えーと、何回もこのポストの文や画像、そしてコメントを読んだんですけど。。。

バンク角って深くなるほどパワーベクトルが推進と異なる方向に働くので速度が遅くなるのかなぁ~って思います。

偏屈な持論ですが、バイクは垂直が最速と信じてるのでボクは極力立てて走るよう心掛けてます。
文字や言葉では伝わらないのですが、一緒に走ってる仲間達は目の当たりにして不思議がってます(笑)

サーキットと峠と首都高って、まったく別次元なんでしょうネ^^;

投稿: RC17 | 2010年2月 5日 (金) 15時09分

●南行さん

これはきっと「南行乗り」の信奉者ではないでしょうか。ヨーイトナを読んで実践したくなっちゃったんだと思いますよ。もっと流行らせたいですね~。

腕と肩に力が入ってるとうまく当て舵できないですからね。どんな稽古ごとでもやっぱり基本は「肩の力を抜く」ですね。

首都高は今月は危ないですねえ。

しかし、スリルとサスペンスの南行流宗家としては寒さを克服して一層の奥義を探求されることを切に願います。

投稿: ケビン | 2010年2月 4日 (木) 07時22分

ヘイデンやロッシを穴が開くほど見ながら、自分のライディングスタイルを重ねつつ陶酔の世界を彷徨うケビン少年がカワイイッ!!

・・・・・・・・・・・
ところで先の日曜に変な挙動のバイクを首都高で見掛けたのですが、それは逆操舵でクイック車線変更をしようとしているマシンでした。 瞬逆操舵をするんだけど倒れながらそのまま当て舵しないもんだからグラッと揺れるだけで車線変更が出来ないままでした。 文字で得た操作法ってのはナカナカ本質には迫れないモンなんですねぇ。
あれやこれやと試しながらもナカナカ免許皆伝に成れないのは趣味や習い事の常ですから、危ないバイクでは無謀なコトはせずに少しずつ楽しみたいものです。

まっ、人生も終わりが見えてきたらスリルとサスペンスを堪能しとかないと後悔することになりますが。。。

投稿: 南行 | 2010年2月 3日 (水) 23時36分

●ひいこさん

たしかにおっしゃるとおり、ブレーキと突っ込みは難しいと思います。これができないと次のステップへ進めないので、いわばスポーツライディングの最初の壁ですよね。

フロントサスが「グン」と沈むまでブレーキかけるんですけど、ロックさせると握りゴケしちゃいますから、度胸だけではだめですもんね。(;д;)

これについてはバイク雑誌もあんまり触れないのは、きっと事故を誘発したら怖いから避けてるんだと思います。

でも、私はこれが実際には一番重要なポイントだと思ってます。フォームなんてその後でいくらでも修正できるんですよね。ヽ(´▽`)/

投稿: ケビン | 2010年2月 3日 (水) 16時37分

なんかすごく勉強になるお話。

私の場合、思いっきりよくコーナーに突っ込んで
ブレーキでフロントに荷重をかけて、っていうのが
なかなか出来なくてスパッと倒しこめないんです。

でもサーキットで練習するようになってから
確かにリーンウィズでは限界があるなぁというのは
分かってきました。

投稿: ひいこ | 2010年2月 3日 (水) 13時39分

●ちーさん

こんなだったら職業ライダーに転職したいなあ(=´Д`=)ゞ

それよりも、私はビビリ屋で直線遅いので全然速くないですからダメですね。

きっとちーさんの息子さんのほうが全然速いはずです(キッパリ!)

投稿: ケビン | 2010年2月 3日 (水) 06時09分

ウ~~カッチョイイ~~♥

なんで 倒れないのかが・・・不思議です。。。

表紙は、可愛かったのに・・・読み出すと~
難しいお話が・・・・
一回では、頭に入っていかないので~
2回読みました。
でも 実践は、無理ですねぇ~
ケビンさんも こ~んな走りなんですかぁ~

スンゴーーーイ(#^.^#)

投稿: ちー | 2010年2月 3日 (水) 01時22分

●jamesさん

おお、さすが元祖バリバリマシン峠族ですね。ヽ(´▽`)/

そうなんですよね。ZRXのタンクは実戦的でないのがね。凸ってればねえ。

でもそうなるとストリートファイターになっちゃいますからね。おやじの心意気で乗りましょう。(^-^;

SSリーンアウト派、だいぶ増殖してる予感。奥多摩に続いて箱根スカイラインも二輪車通行止めになるっていうしね。。。

投稿: ケビン | 2010年2月 2日 (火) 20時18分

昔からの習慣もありますけど、
タイヤのグリップに身を任せるようでリーンウィズは
極めて不安です。
ハングオフならコーナリング中のマージンを
確保できる様に思いますし、ニーグリップなんてしないので楽です。
ZRXはタンクが立っていれば減速時ももっと楽なのですけどね。

SSでリーンアウトですか?
昔、筑波のS字にリーンアウトで
進入する全日本GP500ライダーが
居ましたね。 藤原だったかな?

大袈裟でカッコ良かった。
それとは違いますよね。
私もたまに進入をミスって図らずも気持ちインの
上体アウトってあります。


投稿: james | 2010年2月 2日 (火) 19時18分

●甲斐猫さん

クリスチャン・サロンとは!!渋い例を持ってきましたね。さすが長年のバイク好き。

サロンは耐久レースで強かったですね、きっと彼のリーンウィズは体力の消耗が少ない効率的なフォームだったからに違いないと思ってます。

サロンは結構転倒多かったですけど、当時のタイヤは彼のリーン角度に耐えられなかったのではないかなあと思うんですよ。

ところで、サロン=リーンウィズの権化ですから、あれを正統リーンウィズとすると、ほとんどの我々アマチュアはリーンアウトで走ってることになりそうですよね。

そのへんが一般に流布する誤解の根本のような気がしてるんです。

ちなみに、私はケニーのフォームが一番好きです。完成されたお手本ですよね。

シュワンツはリズムいうかタイミングが好きだなあ。あのスイーッと吸い込まれるようなリーンが快感なんだな。

ロッシは超人なのでハナから興味がもてないっす。

投稿: ケビン | 2010年2月 2日 (火) 18時16分

少し前まではリーンウィズもしくはリーンイン至上主義であったワタシも最近は少し考えが変わりつつあるようです。
足裏によるステップ付近のホールドをケビンさんに指摘してもらってから、試していたのですが、確かに自由度が高いようですね。
人間不思議なもので、こちらの方がより安全ではないかと感じると、そちらを多用するようになり日常化してしまうようです。
前のブログで紹介されていたTOYZさんとケニーのphotoが目標となりそうです。
しかし、ケニーのライディングフォームが完成だと思っていたけど、その後もライディングフォ−ムは進化し続けているのですね。
もちろん、車体のディメンションやタイヤのラディアル化による進歩と並行してのことでしょうが奥深いものです。
クリスチャン・サロンのリーンウィズを目標としていたワタシは、いささか時代遅れだったようです。
そう言えば、近代マシンとの狭間のYZRでサロンはよくコケてたな(笑)

投稿: 甲斐猫 | 2010年2月 2日 (火) 17時08分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 穴が開くほど見てしまう ハングオフ考:

« 新御徒町 アヅマ(あずま) | トップページ | 調布 ふくろう »