ZRX1200 カムチェーンテンショナーの秘密
どうもこのところエンジンの調子がいまひとつなような気がする。気がするというのは、新車のときの快調な状態をすっかり忘れてしまっているから比較できないという意味だけど、やはり気になる。
まずひとつは「ビビリ音」。2500回転前後のエンジン回転のときにビリビリと音がする。3万キロをちょっと超えたあたりから少しずつ出はじめて、34,000kmあたりから常にビリビリと微振動を起こすようになってきた。エンブレで急にスロットルを戻したときが顕著。
それと時期を同じくして、なんというかエンジンのレスポンスが悪い。低速からいきなりスロットルを開けたときに、一瞬「ウン」と間があいて「ガララ」ときて回転がついてくる。一定の開度で回ってるときはそういうことはない。
街中でややゆっくりめに発信したときが顕著で、クラッチがつながってから一瞬ノッキングして回転が落ちる感じ。そのままスロットルを開ければいいだけなので、「うん?」と思うくらいなんだけどね。新車のときはこんなことなかったなあ。キャブレターかな?なんて疑ってみたがよくわからない。
こういうときは、経験豊富な近所の親切なバイク屋さんにおしえてもらおう。何かヒントがあるかもしれないし。彼はGPZ900R-A1から始まる歴代ニンジャ系水冷エンジンのエキスパートなのだ(空冷もね)
(写真は昨年ヘッドを開けたときのものです)
結論から書くと、原因はカムチェーンの伸び。対策は「カムチェーンテンショナー」でした。対策といっても何もしてない。費用ゼロ円。
カムチェーンが伸びるので、遊びが大きくなって、カムの回転が遅れて、バルブの開閉タイミングが崩れ、その結果エンジンのレスポンスが悪くなる。
また、伸びたチェーンがガイドなどに当たってビビり音が発生する。
以上が不調の原因。なんだ、そんな簡単な理屈だったのか。
なので、対策としては「カムチェーンを張ればOK」ということになる。
で、ここまで読んだ皆さんからは「ちょっと待った、それはおかしいぞ」とオブジェクションが出る頃だとおもう。
最近のエンジンには「自動カムチェーンテンショナー」が装着されてるのだから、カムチェーンは常に最適な張りになってるはずでしょ。何をトウシロウなことを言ってるのだ。
いや、私もそうだとばかり思ってたんです。だが真相はちょっと違うのだ。
自動テンショナーは、自動とはいっても常に押したり引いたりしてるわけではなくて、段階的なノッチの駒の分だけカチカチと進んでいく仕組みなのだ。逆戻りはできない。タイラップの駒みたいなもんですね。
トラブルはたいてい、これがうまく動かずノッチがなかなか進まないのでテンショナーが出っ張らないことにある。
だから、チェーンが緩んだままの状態でビリビリと振動させながら走ってるバイクが多いんだ。とくにカワサキのエンジンはうるさいよね、犯人はこいつだったんだな。
「もうちょっとチェーンが緩んだらテンショナーが押し出されると思うから、しばらく乗ってるうちに自然と直っちゃうことがよくありますよ。」
なるほど、私のZRX1200テンショナー君は、「あ、出そうかな、やめよかな、出そうかやめよかどしよかな?」とウジウジ優柔不断の状態を3千キロも続けてたのか。
半信半疑でしたが、彼はニンジャ系水冷エンジンの専門家ですので、騙されたような気になって乗り続けることしばし。
「解決しました」あっけない。35,000kmを超えたところで俄にチェーンのビビリが小さくなり、レスポンスがよくなった。エンブレ時のビビリが残ってるくらい。
カチンとヒト駒進んだんだね。あー、便秘が開通したときのような快感。
------------------------------------
(テンショナーが故障して進まない場合もあるようなので、その場合は残念ながら交換です)
しかし、この機構だと、将来、6万キロ、9万キロといった節目ごとにこういうウジウジが再現されることが想像できるよね。そのたびに手をこまねいてじーっとしてるのは嫌だなあ。
と思っていたら。達人は既にやってるんですね。いつもお世話になってるくささんは、マニュアルテンショナーに交換してしまっている。これなら自分で調節すればいいので精神的にすっきりする。手動であれば張り具合も自分で好みにできるので、例えばやや強めに張ったほうが音が静かになることもあるらしいです。
こちらにあるくささんの記事にはマニュアルテンショナーのことがすっごく詳しく書いてありますので参考になさってください。
あるいはもっと簡単に、テンショナーを外して手で押し出して組み付け直せばそれでいいんじゃなかろか?とも考えている。まあ、とりあえずこれで乗ります。梅雨でもあるし。
追記:その後、実際にやってみました。こちらの記事もご覧ください。
遊びで思い出したのだが、スロットルの遊びが大きかったので、こちらは自分で簡単に調整。大きい方のナットを緩めて、小さいスクリューを回して遊びをとる。大きいナットを締めて固定。という超簡単な手順でしたが、これもまめにやったほうがいいですね。操縦性への影響大きいです。
| 固定リンク
「バイク」カテゴリの記事
- 99999km(2017.11.23)
- モーターサイクリスト誌に掲載いただきました(2016.12.29)
- パイオニアラン・ジャパン 2016(2016.04.15)
- メルセデス四駆(2016.04.02)
- ヘルメットの修理(2016.03.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
●スクラフィーさん
仰るとおり、スプリングが固着するか、ラッチがバカになるか、どちらかみたいです。
この純正部品てものすごく安くてたぶん7千円くらいなので、新品に交換しても、またすぐに壊れそうです。
そういうものと割り切って、定期的に交換するか、シッカリした社外品に換えるか、どちらかなんでしょうか。
しかし、スクラフィーさんのZZR1100は整備が良いだけに、異音もなくて素晴らしいです。立派だなあ。
(#^.^#)
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 19時55分
テンショナーですか・・・私も、マニュアル化しちゃおかな?
(ZZRも適合あるし・・)
回さないし、急激なエンブレもしないから、音も出てないですけどね。
基本・問題無いものは放置の姿勢なんで、妄想だけです。(W
てか、カワサキって、テンショナー、スプリングに頼ってるんですね。
オイラのクルマでさえ、ハイドロ化しているのに・・(W
純正とかけ離れた粘度のオイルを長期間使用すると、ハイドロ系アジャスターが不具合出ることが多いですね。
当然スプリングオンリーでも、劣化するもんですし、
どっちかと言えば、ラッチのトコのガタが多くなっちゃう感じがします。
なので、どっちもどっちかな?と思います。(w
クルマは、13万キロくらいで、テンショナーとラッシュアジャスターが逝きました。
投稿: スクラフィー | 2010年6月16日 (水) 15時07分
いえいえ、思い出させてくれてありがとうヽ(´▽`)/
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 11時54分
あら
前記事にあったのですねスイマセン。
投稿: シュリケン | 2010年6月16日 (水) 11時16分
●sobaさん
うーーー、なんともリアクションが難しいコメントをいだたきました。
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 09時49分
チャリと違ってハイテクだわね
投稿: soba | 2010年6月16日 (水) 08時49分
●甲斐猫さん
あんまり記憶にないってことは、それほど問題でなかったってことだと好意的に解釈しましょかね。
サイドスタンド、こまりものですね。
先日宮が瀬で面白いサイドスタンドのBMWを見ましたので、いずれ記事に書きます。
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 08時44分
追記
だけど、すぐまた注油するので、ホイールが汚れている期間のほうが阿藤的に長いのが悩みのたね、です。
(◎´∀`)ノ
梅雨だけど、雨でも風でも毎日乗ってますよ〜
他にやることないだけなんですけどね。
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 07時30分
900R A1と同年式のボア・ストロークダウンモデルGPz750R G1に乗ってたけど…どうだったか?覚えてないですね。何せ26年前の話ですからねえ。ただ、サイドスタンドが浅くて倒れやすいのと、やたら冷却ファンが回るのは一緒なようです。
投稿: 甲斐猫 | 2010年6月16日 (水) 07時28分
●シュリケンさん
基本はこの記事に書いた通りですけど、その他にもコツあります。
http://kevin99.cocolog-nifty.com/mydiet/2009/04/post-83b8.html
問題は、チェーンの潤滑よりも、飛散するオイルをどうやって始末するか、のほうですよね、ご想像のとおり。
とくに汚れるのはホイールですが、毎回洗車するのはメンドクサイし、オイルはなかなか洗い落とせません。
そこで、私は、ウェスにパーツクリーナーを吹き付けて、ゴシゴシと拭いてます。水であらうとオイルが洗剤に溶けて拡散するだけで、かえって薄汚れますが、こうやって拭くとわりとキレイになりますし、なんといっても簡単です。
注油して、チェーンをウェスで拭いて、数日走ってオイルが飛散しなくなったらホイールを磨く。これが私のやりかたです。ご参考まで。
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 06時37分
●たけさん
エンジンのヘッドに雨がたまっちゃうのはカワサキ水冷の弱点ですね〜。
ところがZRXには意外な改良点があって、それはタンクだそうです。
タンクがエンジンの上面をすっぽり覆うように幅広になってるため、雨がかかりにくいのでだいぶトラブルが減ったそうですよ。
エリミネータはタンク小さいもんね。あれがカッコいいんだからしかたないけどね。
(゚▽゚*)
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 06時31分
●甲斐猫さん
このあたりがバイク屋さんの言うところの「コストダウン」の影響らしいです。
カムチェーンテンショナだけでなく、チェーンガイドとかすべてそうなんでしょうか。
GPZ900R-A1は静かだというのは伝説なんでしょうか。
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 06時28分
●南行さん
愛着というよりも、バイクを買い替える情熱が湧かないというか、私はどうも「乗ってナンボ」の人間らしくて、あんまりバイクという機械そのものにこだわりがないのではないのか???と自問自答しております。
もちろん、ZRX1200Rが素晴らしく良いバイクだというのもあるんですけどね。重さにも慣れましたし。
あれこれと試乗して、ZRX1200よりも良くできたバイクにたくさん触れ合いましたが、だからといってそっちに乗り換えたらもっと楽しくなれるか?と考えると答えが出ないんですよね。
なので、たぶん10万キロ超えても乗ってるはずです。今のペースでいけば5年で達成しちゃうんですよね。(へへへ)
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 06時26分
●くささん
いつもありがとうございます。
ブログ参考にさせてもらってます。
簡単な部品なのにとても重要なパーツなんですね。
まあ、バイクの場合、簡単な部品の集合ですので
どこをとってもそうかもしれませんけど。
奥深いですね〜。
投稿: ケビン | 2010年6月16日 (水) 06時19分
こんばんは〜
その音もカワサキと言えばカワサキなんですけどね
雨ばかりなのでメンテナンスばかりです
そこでケビンさんにお聞きしたいのですがチェーンのオイルメンテのコツはありますか?
投稿: シュリケン | 2010年6月16日 (水) 00時42分
こんばんは~
さすがカワサキっすね
やる事が一味違う
これで思い出したのがGPZ400のエンジンを積んでた頃のエリミネーター、なぜか水抜きの穴が右にしかあいてなくて雨のたんびにリークしてました
投稿: たけ | 2010年6月15日 (火) 21時59分
「がらら」は気色悪うござりますな。ノッキングにしては???と感じておりましたよ。それにしてもカワサキ君はガシャガシャうるさいですね(笑)
投稿: 甲斐猫 | 2010年6月15日 (火) 21時27分
敏感ですねぇ。 チョイとした症状からググーッとバイク内部に入り込んで楽しんじゃうんですね。 それもエキスパートに聞いただけで只で楽しむとは。。。
それにしても、もう35000キロですか、将来、6万キロ、9万キロと乗り続けるつもりだなんて、ほかに惹かれるバイクは無いんですか。
投稿: 南行 | 2010年6月15日 (火) 20時15分
「カムチェーンテンショナー」の括りで検索すると
水冷ニンジャ系エンジンに比較的多く出る
トラブル個所の一つだという事が解るかと思います。
予算に余裕があれば社外品に交換しても良いですね。
本当の姿のZRX1200Rがそこに見えるかも(笑)
投稿: くささん | 2010年6月15日 (火) 19時42分