ZRX1200 カムチェーンテンショナーの秘密 【実践編】
前回お話しした「カムチェーンテンショナの秘密」の続き。梅雨空なので整備です。
前回のあらすじ。。
「てえへんだ、てえへんだ、お、親分」
「なんだ八、おめえは四六時中、てえへんてえへんって。ぜんたいお天道様が西から昇ったってえのか。」
なんてボケかましは置いといて。。。。
今朝のTKGは豪華「純系名古屋コーチン卵」だ!こんな贅沢していいのかしら。ふっくらとした盛り上がりと色艶。口に含むとまるでお菓子のようなコク。ああ幸せ。あ、もちろん頂き物ですよ。私はこういったものには無頓着なので自分では買いません。
カワサキ純正カムチェーンテンショナは押し出しが弱いので、チェーンが緩んでくるとガラガラと大きな音をたてる。これは故障というよりも、どうやらそういった仕様のようです。カワサキ仕様ってやつです。稀にテンショナの故障ということもありますけどね。
3万5千キロくらい走行したところで、自動でテンションが張られたのか、だいぶガラガラが改善されたのだが、まだ少し気になる。もうちょっと張った具合が良いのになあ、と思うんだ。
改善方法としては、社外品の手動テンショナに交換する方法もありますが、ちと値段が高いのと、でっぱりが気になる。なんとか上手い方法はないか。。と考えることしばし、妙案が浮かび「ハタ」と膝を打った。
自動テンショナといっても、実際にはノッチのついた棒でチェーンを押しているだけなのだから、テンショナをエンジンから外し、この棒を「手で引っ張って」それからエンジンに戻せばよいのではないか。というアイデアだ。
ということでさっそくやってみよう。まずはテンショナを取り外す。カワサキの水冷エンジンはカムチェーンがエンジンの横端にあるのでテンショナ外すの簡単です。
昔の空冷エンジンだとこうはいかない。エンジン中央の深いところにあるのでタンクとキャブレタを外さないと手が入らないから、意外と工賃のかかる作業だったようです。
ここで注意することは、テンショナをいきなりエンジンから外すと、内部に縮まっているバネがいっきょに解放されて「ボヨヨーン」と伸びて、テンション棒が勢い良く飛び出してしまうこと。
そうしないためには、テンショナをエンジンに付けた状態で、まず中央の大きいボルトを外して中のバネを取り出し、それからテンショナを取り外すという手順。組付けはこの反対の手順で行う。
エンジンが冷えてオイルパンにオイルが落ちている状態であれば、取り外してもオイルが噴き出す心配はない。
各部品を検分してみたが、スプリングやノッチ部分にはとくにガタや伸びは見られない。テンショナ自体は故障してないようですね。
しかし細いバネだなあ、これではテンションが弱いのもうなずけるし、長年乗ってるうちに弾性が失われてしまうのではないだろうか。この部品数十円のものなんだろうからもう少しまともなものにしたほうがよいのでは?と思う。
これがテンショナ本体。写真ではわかりずらいですが、5コマ出てます。新車状態では4コマらしいから、3万キロ走行して1コマ突き出したわけだ。
ノッチの爪はそれほどきつくないので指で開くことができる。開いて棒を引っぱると簡単にカチカチと出せる。縮めるのも同じ要領。
試しに追加で2ノッチ(合計7コマ)突き出して、エンジンに仮組してみたところ、カムチェーンに当たって奥まで入りきらない。無理矢理ネジ込めば入らないでもないが、それではチェーンに負担がかかり過ぎるような気がする。7コマでは長過ぎると判断した。
6コマに戻したところ、やや抵抗あるが、押し込むとなんとか装着できる。1コマ追加くらいがちょうど良い具合のようです。
ちなみに5コマの状態ではスッポリ入ってチェーンへの抵抗感がとても小さい。ノーマル状態では、これくらいユルユルなのが標準仕様なのか。だからガラガラ鳴るのだな。
テンショナには上下の向きがありますので、間違えずに組み込むこと。上側には白くボチッと印がついてます。これを間違えると、テンション棒がカムチェーンを噛み込んで、セルスタートした瞬間にエンジンが壊れることもあるそうです。そうなったらエンジンを開けなくてはいけませんので、くれぐれも慎重に。
今回は工具を買いました。いつもはいい加減な安売りラチェットセットだけど、どうもこいつではボルト頭をなめてしまうので。
KTCのメガネレンチ。1200円ナリ。こんな高い工具買うの生まれて初めてです。
肝心の試走。まずは恐る恐るセルスタート。問題なくエンジン始動で一安心。私はいつもポーカーフェイスと言われるのですが、このときはドキドキものでした。
アイドリングしてみると、お、これは意外。冷間時に出ていたタペット音が静かになった。気にならないくらい。カムチェーンがタペット音に関係しているとは思わなかったので、びっくりだけどうれしい。
さて、走ってみると、おー、すっごく良い感じ。ガラガラ音非常に少なくなった。新車時と変わらない、もしくはそれを上回る静けさ(のような気がする)。さらに素晴らしいのはスロットルへのレスポンスの良さ。カムチェーンの遊びがとれたためでしょう。軽やかに反応良く回ってくれる。
総じてヘッド回りの音が静かになった。これまでは運転中もカムチェーンの音ばかり聞こえて、どちらかといえば音的にはつまらないバイクだなあと思っていたのだけど、排気音がボボボンと響いてダイレクトに聞こえるようになってうれしい。
やたー、自分でエンジン部品に手を入れるの初めてなのでビクビクでありましたが、これは大成功だったみたいだ。うれしー。かかった費用はレンチ代1200円のみでした。
少しでも暇つぶしになったらポチッと押してくだされ
B級グルメ
ブログ村
| 固定リンク
「バイク」カテゴリの記事
- 99999km(2017.11.23)
- モーターサイクリスト誌に掲載いただきました(2016.12.29)
- パイオニアラン・ジャパン 2016(2016.04.15)
- メルセデス四駆(2016.04.02)
- ヘルメットの修理(2016.03.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
●たけさん
いや(汗)、これをスキルと呼んではイカンと思います。
世の中のメンテ達人が読んだら怒ると思うくらい
いいかげんなものですので。。。
投稿: ケビン | 2010年7月 5日 (月) 11時49分
おお~!!
このところどんどんメンテナンスのスキルが上がってますね~
俺はといえば、相変わらず自分じゃ何もしてないっす
投稿: たけ | 2010年7月 5日 (月) 10時33分
●南行さん
そうそう、私がこういう記事ばかり書くので、どうもZRXはハズレではないかと誤解を与えそうなので、、、
これは、私が気にしすぎているだけなんだと思います。
もともとバイクってのは振動やノイズと共にある乗り物ですから、無音がベストなわけではないですからね。
投稿: ケビン | 2010年7月 5日 (月) 08時15分
●南行さん
いや、これそうとう古いですよ。エンジンの基本設計20年前ですから。
12Rのとはひと世代違うので雲泥の差ではないでしょうか。
そんな気がする。
とはいっても気にいってるから良いんですけどね。
♪(´ε` )
投稿: ケビン | 2010年7月 5日 (月) 03時44分
ケビンさんのZRXってそれほど古いバイクじゃないのにねえ。 そんなに音や振動が出るモンんですか。
ケビンさんよりクラシックな私のロバは、壊すような乗り方をしていますが何のトラブルも起きません。 調子がよい上に、もっとアクセルを開けろと、挑発的な堅い振動で吠えまくります。
当今のバイクは7万キロ位はノートラブルでいけるものなんですがねぇ。 いわゆる当たり外れが在るんでしょうか。
投稿: 南行 | 2010年7月 5日 (月) 00時09分
●スクラフィーさん
そうそう、このあたり原始的なので私のような素人でも理解できるのでうれしいです。
電子制御なるべく少ないのがいいですよね。
投稿: ケビン | 2010年7月 4日 (日) 11時42分
●甲斐猫さん
そうなんです。あまりにも簡単な部品なのでおどろき。これは長期間不動車だと確実にバネが固着しそうですね。
これだけユルユルにするカワサキの設計意図がよくわからないのですが、きっとテンション張りすぎることのほうがユルいよりもよろしくないという判断なんでしょうかね?
このところ整備をあれこれしてるので、ものすごく快調なんですよ。
お金もかからず、楽しいです。
投稿: ケビン | 2010年7月 4日 (日) 11時40分
水冷カワサキ乗りにとって、とてもタメになる話題です
しかしながらこのあたり、基本設計は昭和の五十年代で…(笑)
有る意味、好感持てます(笑)
さすがカワサキ
投稿: スクラフィー | 2010年7月 4日 (日) 10時38分
へえ、意外に簡単な構造の部品なのね(゚▽゚*)
しかし、ある意味手動テンショナーとも言えるな。
K-TRIC解除をはじめ、メンテナンスに馴染んでますね〜。3万km以上走ると、長く連れ添ったく夫婦みたいなもんで、ちょっとしたつつき具合で機嫌が良くなるのがわかるというわけだね(笑)失礼!
投稿: 甲斐猫 | 2010年7月 4日 (日) 09時47分