ZRX1200 謎のK-TRICとは? 進角の秘密 【続き】
毎日雨ですが通勤してます。雨が止むと突然猛烈に暑くなったりしますね。前回書いた「K-TRIC」について、ようやくレポできるようになりました。
結論からいうと、「熱によるK-TRIC(もしくはイグナイタ)の誤動作」は正解だったようです。K-TRICをキャンセルして走ること2週間。従来ならばエンジンが猛暑で愚図りだすはずの場面でも問題なく快調に回転してます。
なので、本来であればK-TRIC(もしくはイグナイタ)を交換して対策を完了すればよいのですが、そうしたくなくなるような状況が新たに生まれました。
K-TRICは、点火時期を進角しようとするイグナイタを抑制し、点火時期を遅らせることでエンジン回転の上昇を穏やかにして「騒音規制」に適合させることが目的です。
しかし、カワサキのカタログやサイトには「騒音対策」との文言はいっさい現れず、その代わりに「点火時期を最適化します」という、まことにお役人の作文のような言葉で説明されてます。
「最適化」なんて言葉を目にすると、私を含め専門知識のない人間は「そうか、最適なパワーが発揮されるんだったらきっと良いコトに違いない」なんて、コロッと騙されちゃうわけです。
でも、このお役所言葉には深い意味があって、「何の為の」最適化なのか、についての説明は意図的に曖昧にされてるわけです。もう皆さんおわかりのように「規制値クリア」に最適化されてるわけですね。けっしてユーザーが求める「最適なパワー」が得られるわけではありません。
なので、障害対策のための調査としてK-TRICをキャンセルしたにもかかわらず、私の意図とは関係なしに「もんのすごく爆発的なパワー」が得られることになっちゃったわけです。
これはイイです。大興奮。
例えて言うなら、こんな感じ。
K-TRIC有り:下りのエスカレータを逆向きに全速力で駆け登る感じ。ちょっと気を抜くと下がってしまう。
K-TRIC無し:上りのエスカレータを歩いて登る感じ。ちょっと休んでも勝手に上がっていく。
K-TRICの有効な状態では、イグナイタはことあるごとに理屈を述べては「はいはい、そこまでそこまで、いいですか〜、いつでも点火タイミングを遅らせますからね〜」とかいって、積極的にエンジン回転を下げてしまうのです。まるでつねにエンジンブレーキがかかっているような状態。
かたや、K-TRICが無効な状態では、イグナイタ君は能力を全て発揮して、「いやいや、そんな消極的なこと言わんといてください。私は勝手にフルに回転上げまっさかい。もっとシバイたってください。」とかいって、どんどん回転を上げたがるのです。
イグナイタ君、ほんとうはイテマエの関西人なのに、K-TRIC拘束具のために「良い子」のふりをさせられてたんだ。
おかげでシフトアップが減った。そのままグングン伸びるので。
ZRX乗ってると、なぜか頻繁にシフトアップしたくなる人多いと思いますが、それはK-TRICのせいだったんだねー。
私のZRXはキャブのジェット交換でフルパワー化したための相乗効果なのかもしれませんので、国内仕様車がすべてこうなるかどうか未知なのだが、おそらく効果あると思う。逆車ZRXだったらはっきりと体感できると思います。
ピークパワーは変わらないのかもしれないが、中間のトルクの盛り上がりがすごい。びっくりするくらい。
どれくらい凄いかというと、コーナーからの脱出で顕著です。ノーマル状態ではコーナー進入で回転が下がると、スロットルを開けてもなかなか盛り上がらないのだが。かたやK-TRIC無しでは、パーシャル状態からスロットルをワイドオープンして回転上昇するまでの時間が非常に短く、パワーが爆発的にグワっと盛り上がる。
スロットルオンでのトラクションが格段にちがうわけです。うっかりするとパワードリフトします。おかげでリアタイヤがこの2週間でツルツルになってしまった。
とくにサイドの減りが尋常でない。これまでこんなに減ったことはなかった。夏で路面が熱いということもあるが、昨年の猛暑でもこんなに減ることはなかった。
タイヤの端までベロベロでデロデロです。ちなみにこの2週間、サーキットにも峠にも行ってないですよ。通勤とちょっとした街乗りだけです。まあ、街乗りとはいっても空いてる道ではけっこうノリノリでしたけどね。
コーナリング特性も変化しました。リアのトラクションが強いためにプッシュアンダーが出るようになったので、乗り方を換えました。SSのように前に荷重を意識して前ブレーキ残しながらコーナリングするほうがしっくりきます。
気になる燃費は、これまでと同じか多少良いくらい(約18km/L)、パワーアップ分を勘案すればかなりの燃費改善だと思う。ちょっと不思議だけどいまのところそうです。
あと1ヶ月はもつかと思ってたタイヤですが、もう限界。すっかり台形になってしまった。
マイルドな良い子も、それはそれで悪くないとも思う。
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コメント
はじめまして。すごく参考になりました。
ところで、2016年現在も不具合なくK-TRICはキャンセルしたままでしょうか?
投稿: あやや | 2016年10月16日 (日) 17時37分
●zrt20aeさん(仮称)
おお、やってますね!
いいですね〜。
きっとフルエキとの相乗で効果倍増ではないでしょうか!
投稿: ケビン | 2010年11月15日 (月) 08時14分
zrt20aeの初期型マレーシア仕様に乗っている者です。
K-TRIC外していますが加速からフロントが浮いて面白いですよ、中間加速もコーナー中ではフロント荷重をより意識しないとスロットル操作でアンダー出まくります。
他の変更点はフルチタンEX、キャブ同調等再調整です。
投稿: | 2010年11月14日 (日) 23時32分
●けいさん
そうそう!こちらの記事のほうがグッドです。
気をつかっていただいてありがとう〜
(o^-^o)
それにしても、あまり効果が感じられないのは残念です。
人によって感じ方が違うのはあるかもしれないですけどね。
まあ、ライトチューンなので、ものすごい変化を期待するのは
難しいかもしれません。
投稿: ケビン | 2010年7月30日 (金) 06時01分
こちらの記事でよろしいでしょうか
私のZRXは2006年式国内仕様でキャブレターのニードルとメインジェットを輸出仕様にし、エアクリーナーの吸入口を撤去してケビンさんと全く同じフルパワー化しています
マフラーはエキパイはノーマルでサイレンサーは社外の抜けのいいのに交換しています
また気づいたことがあれば報告します
投稿: けい | 2010年7月30日 (金) 02時30分
うまくいったらレポよろしく~
くれぐれも自己責任でお願いしますね。
投稿: ケビン | 2010年7月16日 (金) 06時24分
ZRX400に乗っているものです。全く同じような症状が出ているので私もK-TRICをはずしてみようか検討中です。
わかりやすいブログで助かります!!
投稿: | 2010年7月15日 (木) 22時34分
ちょっとだけ安心
投稿: ケビン | 2010年7月13日 (火) 19時13分
はい。
バイクは車からだと
死角に入ったりして見えずらいですからね
心配かけさせちゃって
すいませんでした
投稿: グッチ | 2010年7月13日 (火) 17時31分
●グッチさん
それは災難でしたね。。。
K-TRiCが原因ではとやきもきしておりました。
そういう事故って、自分に落ち度がなくても避けられないですものね。
怪我がなくってよかったです。
投稿: ケビン | 2010年7月13日 (火) 15時29分
直進していたらT字路からいきなり車が右折してきて避けきれずに突っ込みました
投稿: | 2010年7月13日 (火) 15時24分
●グッチさん
なんと。。。。
お怪我がなくて幸いですが。
いったいどういった理由で。
投稿: ケビン | 2010年7月13日 (火) 12時34分
ケビンさん
昨日あれから
自分は大丈夫ですがχが廃車かもしれません
ゼファーで事故っちゃいました
ケビンさんも事故
には気をつけて下さい
投稿: グッチ | 2010年7月13日 (火) 11時58分
よろしくね~
投稿: ケビン | 2010年7月12日 (月) 18時08分
ケビンさん
丁度雨が止んで
たんでやっちゃいました
またコメしにきます
投稿: グッチ | 2010年7月12日 (月) 15時17分
●グッチさん
おおおおーーーー、やりましたかあ!
しかも、なかなか調子よさそうですね。これはうれしい。
しばらく乗ってみて、またレポくださいな。
投稿: ケビン | 2010年7月12日 (月) 14時56分
ケビンさん
今日KーTRICキャンセル
しました
レスポンスが良くなって思いっきりアクセル開けた時の息継ぎ?みたいのが無くなりスムーズに加速するようになりました
とくに問題もなさそう
なのでこのままでも大丈夫だと思います
投稿: グッチ | 2010年7月12日 (月) 14時25分
あ、一つ訂正
熱膨張と圧力容器のほうが計算全然難しいですね。なので
単純に ー> 単純な経時劣化で
投稿: ケビン | 2010年7月12日 (月) 11時19分
●スクラフィさん
もっと単純に、電解液の膨張圧力と、容器の耐圧力性能が問題だと思うんですよ。
分解してみるとわかりますけど、ほんとに簡単なつくりですからねえ。
そういえば、我が家の愛車のメーターパネルが故障しまして、やはり原因は電解コンデンサでした。ディーラもよくわかっていて、コンデンサだけ取り替えて安く修理してくれましたけど、アセンブリ交換だったら高かっただろうなあと思います。
電解コンデンサって、早く代替品ができてほしい部品の筆頭ですね。
真空管が半導体になったのに、電解コンデンサの原理は何十年も変わらない。これは「生きた化石」のような。細胞のなかのミトコンドリアのような存在のように思えてきます。
投稿: ケビン | 2010年7月12日 (月) 09時59分
電解コンデンサーの寿命考え方(簡易的)
T1:耐熱温度、T2:使用温度
(T1-T2)*α=寿命
耐熱85℃の電解コンデンサーを40℃で使用した場合
耐熱105℃の電解コンデンサーを40℃で使用した場合
85-40=45と105-40=65
65/45=1.4倍となります。
電解コンデンサーは、主に電源系統の安定化を目的として、用いられますので、それが抜けちゃうと、
電源がフラフラしちゃって、センサーとか入力信号自体がメタメタになって、過大な電圧で、入力回路自体がパンクすることもあって・・・・・・・・
と。いうことで、どすか?(w
投稿: スクラフィー | 2010年7月12日 (月) 09時37分
●甲斐猫さん
逆車のイグナイタ、国内仕様との最も大きな違いは、イモビライザーの有無ではないでしょうか。イモビ本体はエアクリーナーのところにあるんですが、こいつはイグナイタと組み合わさってはじめて機能するんですね。イモビユニットは鍵の暗号解読にあって、実際にエンジンを起動するのはイモビの指令を受けたイグナイタの役目のようです。
これがあるんでイグナイタを簡単に取り替えることができないというジレンマがあります。
逆車はイモビないので、社外のものを気軽に使えて、かえってよいかもしれない。
ZRXのミラーはもうしかたないですね、諦めてます。カウルにマウントされたやつは丈夫なんでしょうね。
投稿: ケビン | 2010年7月12日 (月) 05時50分
●南行さん
アルミ電解コンデンサは、細長いアルミ箔二枚をトイレットペーパーのようにくるくると丸めて筒型の容器に収め電解液で満たして密閉したものなんですが、温度差の激しい環境下にあると、この容器が電解液の膨張圧力に耐えられず破裂してしまうんです。頑丈な容器にすればいいだけのことなんですが、もともとが何銭のコストのものなのでなかなか難しいみたいです。
投稿: ケビン | 2010年7月12日 (月) 05時29分
イグナイタも国内仕様と逆車とでは違う物を使用しているようです。パワーが出るのは魅力的だけどタイヤの減りは気になるなあ…貧乏でっさかい(笑)
ところで、200〜210km/h超えるとミラーが手前に倒れて使用不能になりますね。ZZR1400なんかはどうなってるのかあ?アウトバーンではそれじゃ困るだろうしね。
まあ、ウチら関係ないけどね(笑)
投稿: 甲斐猫 | 2010年7月12日 (月) 01時03分
少し教えてください。
アルミニウム電解コンデンサーって30℃環境での寿命が50000時間と考えて産業機器(動力用インバータ)を使用するんですが、そのコンデンサに掛かる負荷というか使用条件によっても寿命は変わるんですか。
投稿: 南行 | 2010年7月12日 (月) 00時27分
ケビンさんへ
分かりました

また試したらコメに
書き込みにきます
投稿: グッチ | 2010年7月11日 (日) 23時33分
●グッチさん
コメントありがとうございます。
ゼファーでどうなるか、とても興味あります。上手くいったら、ぜひおしらせください。くれぐれも自己責任でお願いしますね。(^ー^)ノ
投稿: ケビン | 2010年7月11日 (日) 22時06分
今日ゼファーχの
KーTRICの線が一本切れ
ちゃったんで自分もキャンセルしましょうかね笑
投稿: グッチ | 2010年7月11日 (日) 21時54分
補足
アナログ出力のないものは除く。
投稿: ケビン | 2010年7月11日 (日) 21時36分
●スクラフィさん
そのとおりなんです、さすが素晴らしい指摘。電解コンデンサは、なんつーか未完成の中途半端な技術だと思います。
大容量のセラミックコンデンサが求められてるんですが、なかなか難しいみたいですね。各社とも研究にいそしんでるようですけど。
これがどうにかならないかぎり、ほとんどすべての電子機器は5年しかもたないんですよね。
投稿: ケビン | 2010年7月11日 (日) 21時32分
こんばんは、私もキャブ派です。
今のZZRも、前のGSXも、キャブだから乗ってる(乗った)感があります。
消耗品や劣化する部品さえ交換しつづければ、半永久的に稼動できますから、
基板上の電解コンデンサーが5年くらいで寿命を迎えるヤツには興味ないです。
投稿: スクラフィー | 2010年7月11日 (日) 20時38分
●南行さん
K-TRICはアナログなんで、それなりに乗れちゃうところが幸いしてか、とくに問題なく、これはこれでよくできた騙しのテクニックだと思います。
インジェクションだと妙なドン付きとかあって不自然ですけど、このあたりがキャブのおおらかなところですね。
やっぱりこういういい加減な霧吹きで動いてるバイクがいいわあ。
もう、ずっと乗っちゃうだろうと思ってます。
投稿: ケビン | 2010年7月11日 (日) 16時40分
キャブで排ガス規制をクリアする為のみの機構だったんですネ。 2010年の今では、キャブ車って殆どラインナップしていませんが、やはりK-TRIC等の無理付けデバイスでは限界があったからなんですね。
インジェクション時代の今では ”かぶる” とか ”チョーク” が死語になってしまいました。 どうぞ前世紀マシンの生き証人としてZRX1200を味わい尽くしてください。
孫の時代にはキャブ車なんてSLなみの歴史的遺物に成っているんでしょうね。 「じいちゃん、ホントに霧吹きみたいなキャブってモノでバイクは動いたの?」・・・・
投稿: 南行 | 2010年7月11日 (日) 14時11分
●シュリケンさん
サンクチュアリの人が言ってたんですが、「CVキャブはダメで、FCRじゃないとパワー出ない」ってのは、ショップのセールストークみたいね。
もちろんFCRが意味ないってことじゃなくて、CVでもやればできるということだそうです。
まあ、彼らも商売ですからしかたないですけど。
かなりいけますよ。過激というほどではないですが、私のバイクでは驚くほど違いました。まあ、これは人それぞれ感じ方が違いますので、好みではありますけどね。
投稿: ケビン | 2010年7月11日 (日) 10時23分
おはようございます。
自分そろそろ社外キャブの投入を考えていたのですがとても良い事聞いてしまった。お金を掛けずにそこまで変わるなら試してみようと思います。逆車だとどの位変わるのだろうか。その時はご報告致します
投稿: シュリケン | 2010年7月11日 (日) 09時51分